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    © 株式会社Lanespire

    ブログ2026年9月29日

    キャバクラのスライド制給与とは|売上の段階と時給の決め方・計算例

    キャバクラのスライド制給与とは|売上の段階と時給の決め方・計算例

    キャバクラのスライド制給与は、月などの期間の売上に応じて時給が段階的に変わる仕組みです。始める前に、売上に数えるもの・査定期間・段階と時給・時給制との併用の仕方を決めて書面で示しておくと、月末に揉めにくくなります。決め方を計算の例とあわせて説明します。

    スライド制の給与とは

    スライド制は、キャストの成績に応じて時給が段階的に上下する給与の決め方です。キャバクラやラウンジの給与は「時給+バック」が基本の形で、スライド制はこのうち時給の部分を成績で変えます。指名バックやドリンクバックは、スライド制でも別に加わるのが一般的です。

    成績の測り方で、主に2つに分かれます。

    • 売上スライド:査定期間の売上の金額で時給の段が決まる。どの売上を数えるかは店ごとに違う(本指名のお客様の小計、指名料とドリンクの合計など)
    • ポイントスライド:本指名・場内指名・同伴などに点数を付け、合計の点数で時給の段が決まる

    どちらでも、段が上がると査定期間の勤務時間すべての時給が上がる形が普通です。売上が境目をわずかに越えるかどうかで給与が大きく変わるため、境目の決め方と、何を売上に数えるかの取り決めが、揉めないための要になります。なお、ホストクラブでは歩合の率が売上で上がる仕組みを「スライド」と呼ぶこともありますが、ここでは時給が変わるスライドを扱います。

    始める前に決めておくこと

    揉めごとの多くは、表の数字より「決めていなかったこと」から起きます。表を作る前に次の項目を決めます。

    決めること

    決め方の例

    決めていないと起きること

    売上に数えるもの

    指名料とキャストドリンクだけ/本指名のお客様の小計(税・サービス料を除く)

    「ボトルの分が入っていない」と言われても説明できない

    数える指名の種類

    本指名だけ/場内・同伴も含める

    場内指名が多い新人ほど段が上がらず不満が出る

    複数のキャストが付いた卓

    指名したキャストの分だけ数える/人数で分ける

    同じ卓の売上を2人がそれぞれ自分の分と考える

    査定期間と反映の時期

    1か月ごと・同じ月の時給に反映/半月ごと・次の期間に反映

    「先月の成績が反映されていない」と言われる

    境目の扱い

    しきい値ちょうどは「以上」で上の段

    ちょうど60万円のときにどちらの段か揉める

    入店直後の扱い

    最初の数か月は保証時給、その後スライドへ

    保証が切れた月に急に時給が下がり、辞めるきっかけになる

    表を変えるとき

    翌月の頭から。事前に書面で知らせる

    月の途中で変わり、どの日にどの表を使うかで揉める

    雇用契約のキャストの場合、賃金の決定・計算・支払いの方法は、採用のときに書面で示すことが労働基準法で求められています(厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました」)。スライドの表と売上の数え方は、この「計算の方法」の中身そのものなので、口頭で済ませず書面にして渡しておきましょう。業務委託の場合も、報酬の決め方は契約書に書いておくのが基本です。雇用か業務委託かで変わる点は、給与の控除と前借りの記事で説明しています。

    売上の段階と時給の決め方

    段階と時給は、次の順で決めます。

    1. 一番下の段の時給を決める。売上が少ないキャストでも受け取る時給です。求人に出す時給や、入店直後の保証時給との関係もここで決めます
    2. 一番上の段を決める。店の客単価で現実に届く売上にします。届く人がいない段は作らないほうが、表が読みやすくなります
    3. 段の幅と時給の差をそろえる。たとえば「30万円ごとに300円上がる」のようにそろえると、キャストが自分で計算しやすくなります
    4. 過去2〜3か月の実績を当てはめる。キャストごとの月の売上を新しい表に当てはめ、段ごとの人数と時給分の合計を出して、今の給与と比べます
    5. 境目のすぐ下にいる人を確かめる。境目の手前に人が集まる表は、月末の揉めごとが増えやすくなります
    6. 書面にして、始める月より前に説明する。

    例として、月の売上で4段に分けた表を示します。数字はすべて説明のための例です。

    月の売上(例)

    時給(例)

    0円〜

    3,000円

    30万円以上

    3,300円

    60万円以上

    3,600円

    100万円以上

    4,000円

    段の差の付け方で気を付けたいのは、段が上がると勤務時間の全部に新しい時給がかかることです。月80時間働くキャストなら、時給300円の差は月24,000円の差になります。段の差を大きくすると目標としての力は強くなりますが、境目のわずかな売上の差で給与が大きく変わり、「あと少しだったのに」という不満や、月末に売上の付け方を巡る揉めごとが起きやすくなります。

    表を作ったら、キャストの給与が売上に占める割合がどう変わるかも、実績を当てはめた試算で確かめてから決めましょう。

    時給制・スライド制・併用の違い

    スライド制だけにするか、時給制と組み合わせるかでも、キャストの受け取り方が変わります。

    方式

    時給の決まり方

    向いている店

    気を付けること

    時給制

    キャストごとに決めた時給

    出勤の安定を重視する店、新人が多い店

    売上を伸ばしても時給が変わらず、伸ばす理由がバックだけになる

    スライド制

    売上の段で決まる時給

    指名のお客様を持つキャストが中心の店

    売上が少ない月は時給が下がる。新人は一番下の段になりやすい

    併用

    本人の時給とスライド時給の高い方

    入店時の時給を守りつつ、売上で上を目指してほしい店

    本人の時給を高くしすぎると、スライドで上がる人がいなくなる

    併用は、本人の時給を下限にして、売上が上がればスライドの時給に切り替わる形です。入店時に約束した時給を下回らないので、保証時給からスライドに移る途中のキャストにも説明しやすい決め方です。

    計算の例(数字はすべて例)

    上の表(例)を使い、本人の時給が3,200円で、月に16日・1日5時間(合計80時間)働いた2人のキャストで比べます。月の売上はAさんが65万円、Bさんが25万円とします。

    Aさん(売上65万円)

    Bさん(売上25万円)

    当てはまる段

    60万円以上 → 3,600円

    0円〜 → 3,000円

    時給制

    3,200円 × 80時間 = 256,000円

    3,200円 × 80時間 = 256,000円

    スライド制

    3,600円 × 80時間 = 288,000円

    3,000円 × 80時間 = 240,000円

    併用

    3,600円(高い方)× 80時間 = 288,000円

    3,200円(高い方)× 80時間 = 256,000円

    どの方式でも、この時給分に指名バック・ドリンクバックなどを足したものが総支給になり、そこから源泉徴収や、取り決めのある控除を差し引きます。Bさんのように売上が少ない月は、スライド制だけだと時給制より少なくなり、併用なら本人の時給が守られます。

    境目の例

    Aさんの売上が59万8,000円だった場合、段は「30万円以上」の3,300円になり、スライド制の時給分は3,300円 × 80時間 = 264,000円です。売上2,000円の差で、時給分は24,000円変わります。境目の手前にいるキャストほど、どの会計がいつ数えられたかを気にするので、「会計が済んだ日で数える」など、数える日も決めておきます。

    勤務時間の数え方

    時給分は「時給 × 勤務時間」なので、勤務時間の数え方も決めておきます。たとえば21時に出勤して翌2時10分に上がった日を、5時間10分とするか5時間とするかです。雇用のキャストについては、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を払わないことは労働基準法違反になると、厚生労働省が示しています(厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」)。切り捨ての単位を決める前に雇用か業務委託かを確かめ、迷うときは労働基準監督署や社会保険労務士に相談してください。

    よくある失敗と防ぎ方

    • 売上の範囲を決めずに始める:「ボトルは入るのか」「税・サービス料込みか」を後から決めると、その月の段が変わる人が出ます。始める前に書面にします
    • 月の途中で表を変える:変えるなら翌月の頭からにします。途中で変えると、どの日の分にどちらの表を使うかで揉めます
    • 日払いと月末の段がずれる:日払いを渡すときは、月の途中の売上で段を見ることになります。月末に段が上がったとき、日払いで渡した日の分も差額を払うのかどうかを先に決めておきます
    • 保証期間の終わりがあいまい:いつからスライドになるかを入店時に日付で伝え、終わる前にもう一度伝えます
    • 本人が自分の段を知らない:月の途中で今の売上と段が分からないと、月末の明細で初めて知ることになり不満につながります。本人が給与を確かめられるようにする方法は、キャストの給与が不透明になる理由の記事で説明しています

    NightTable でスライド制の給与を作る

    NightTable では、計算方式で「スライド制」か「併用」を選んでスライド時給の表を登録しておくと、出勤の記録と会計済みの売上から、給与の下書きを作れます。

    1. 「設定」の「給与ルール」を開き、「計算方式」で「時給制」「スライド制」「併用」から選びます
    2. 「スライド時給」で売上のしきい値と時給を入れ、「行を追加」を押します。表は売上¥0の行から始めます(無いと保存できません)
    3. 「勤務時間の単位」(15分・30分・60分)を選び、「保存する」を押します。勤務時間は出勤1回ごとにこの単位で切り捨てられ、15分を選んでも15分に満たない分は切り捨てになります。雇用のキャストがいる店は上の「勤務時間の数え方」を確かめ、必要なら給与を作るときに勤務時間を手で直します
    4. 本人ごとの時給は、「スタッフ・キャスト」の詳細の「報酬設定」で入れます(時給制と併用で使います)
    5. 「給与」で「給与を作成」を押し、キャストと「支払いの種類」(日払い・月払い)、勤務日か対象の月を選ぶと、勤務時間と時給、内訳が自動で出ます
    6. 内訳を確かめて「下書きで保存」を押し、「承認する」「支払い済みにする」と進めます

    詳しい手順は給与の計算ルールを決めると給与を計算して明細を出すにあります。

    給与ルールの画面。計算方式を選び、月の売上のしきい値ごとにスライド時給を入れる
    給与ルールの画面。計算方式を選び、月の売上のしきい値と時給を行で追加する

    スライドの段を決める売上は、その月のキャストの指名料とキャストドリンクの合計です。会計が済んだ卓だけを数え、取り消しになった注文は入りません。ボトルやセット料金を含む卓全体の売上(小計)ではないので、本指名のお客様の小計などでスライドを決めている店は、この数え方がお店のルールと合うかを先に確かめてください。指名料の金額とバックは指名料とバックを設定するで決めます。

    「給与を作成」の画面には、この月の指名料+キャストドリンクの金額と、「適用: スライド時給」のように、どの時給が使われたかが出ます。お店のルールとの違いなどで時給や勤務時間を直したいときは手で直せて、「手入力」と表示されます。

    給与を作成の画面。勤務時間と適用された時給、支給の内訳が自動で出る
    給与を作成の画面。勤務時間・時給・内訳が自動で出て、手で直すこともできる

    日払いの給与は、作った時点までに会計が済んだ、その月の売上で段が決まります。月払いを作るときは日払い済みの日が計算から外れ、「日払い済みのため除外」と出るので、同じ日の分が二重に計算されません。一方で、月末に段が上がっても、日払いで払った日の分を払い直す計算は自動ではしません。差額を払う決まりにしている店は、月払いの「調整額(±)」で足します。

    キャスト本人は、自分の画面の「給与」の「見込みの内訳」で、今月の勤務時間と、その時点の売上で決まる時給を確かめられます(給与・バックを確認する)。

    次のことはできないので、運用で補います。

    • スライドの表はお店に1つです。キャストのランクごとに表を分けることはできません
    • 段は売上の金額で決まり、指名本数やポイントで時給を変える設定はありません。本数に応じて払いたい場合は、「賞与」に種類「指名本数」「同伴回数」などで金額を登録し、給与に加えます(金額はお店で決めて入れます)
    • 査定は1か月ごとで、半月・週ごとの査定や、前の月の成績で今月の時給を決める設定はありません。前の月の成績で決めている店は、「時給制」にして毎月「報酬設定」の時給を変える使い方になります
    • 保証期間が終わったときに時給を自動で切り替える機能はありません。期限は手元で控えておき、「報酬設定」の時給を変えます

    よくある質問

    スライドの査定は1か月と半月、どちらがいいですか?

    半月は結果が早く出て目標にしやすい一方、段が上下しやすく、計算と説明の回数も増えます。1か月は時給が安定しやすく、月払いの締めと合わせやすい決め方です。どちらでも、締め日と、いつの時給に反映するかを書面にしておきます。NightTable のスライド時給は1か月ごとの売上で判定します。

    売上が落ちたキャストの時給を下げてもいいですか?

    スライド制は、売上によって時給が下がることもある仕組みです。入店時に表と売上の数え方を書面で示し、本人が分かっていることが前提になります。表そのものを変えて時給を下げるときは、事前に説明し、本人の同意を得てから変えるようにします。個別の判断に迷うときは、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。

    入店直後の保証時給とはどう組み合わせればいいですか?

    併用にして、本人の時給を保証時給にしておく方法があります。スライドの時給が上回ればスライド、下回れば保証時給で計算されます。保証期間が終わったら本人の時給を通常の額に戻し、その日付を入店時に伝えておきます。NightTable では「報酬設定」の時給を変えると、次の給与計算から反映されます。

    スライド時給の表と出勤の記録から、給与の下書きまでを一続きで作りたいお店は、NightTable を30日間無料で試せます。料金とお申し込みは料金ページをご覧ください。